養蜂家が出来ること 農園開拓記録
2019.07.11
vol.3 荒れ果てた耕作放棄地にひまわりが咲くまで。
皆さま、高橋養蜂のホームページをご覧いただきましてありがとうございます。
この「養蜂家が出来ること 農園開拓記録」のコーナーでは高橋養蜂が最も大切にする「ミツバチが快適に暮らせる環境づくり」をどのように進めているのか?そして、今、高橋養蜂のある伊豆下田の里山はどんな状況なのか?を紹介していきます。
年に数回、更新予定です。
是非、ご覧ください。
前回、「ミツバチの楽園」にすべく耕作放棄地となり獣たちに荒らされてしまった農園に獣害対策の柵を囲うところまでお伝えしました。
その柵のおかげで鹿や猪が入ってこなくなりました。
獣害対策の柵は成功です。
ここに蜜源となるレモンやお茶の木や、菜の花やひまわりなどの季節ごとの花を植えました。
こちらはお茶の苗です。
当園を応援してくださる方がこの日のために種から育ててくれました。
ありがとうございます。
そのお茶は花が咲けば蜜源にもなります。
そして、しっかり根が張ることから斜面に植えると崩れるのを防いでくれます。
そして、レモン。
小さな苗を自宅の庭でここまで育てました。
そのレモンを雨が降り続く前のタイミングを狙って植えつけました。
レモンは蜜源として優れていて無農薬でも育てやすい。
味としても蜂蜜との相性の良さは誰もが知るところ。
実がなるのが楽しみです。
こうして「ミツバチの楽園」へ一歩ずつ近づいていることが嬉しかったその頃、とても困った問題が起きました。
それは…、草が元気すぎることです。
実は、柵を設置するまではこの土地は草が育たないのか?というほどに土があらわになった土地でした。
それが、柵を設置して鹿が入ってこなくなった途端に…こんな状況になったのです。
説明すると…
中央に柵があり、右側が柵の外側です。
土があらわになっていて草が育っていません。
以前は周辺の土地が全てこのような状況でした。
対して、左側の柵の内側。
どんどんどんどん草が育つのです。
草が育たない土地なのではなく、生えてくる草を鹿がきれいに食べつくしていたのだということに気づきました。
この頃、季節は初夏。(‘18年の話です。)
もっとも草の勢いがある時期。
気付くと植えたお茶の苗が気付くと見えなくなる程に草が伸びてしまいます。
ミツバチたちのための農園なので除草剤は撒けません。
なので、養蜂の作業の合間に草刈りをしました。
一通り刈り終わる頃にははじめに刈ったところはすでに伸びてきている…。
という状態です。
なかなか大変な作業でしたが草刈りを終わらせたタイミングでレモンとレモンの間にひまわりの種を播きました。
ひまわりは夏の太陽の日差しをうけてぐんぐん育ち…、
咲きました!
農園を借りはじめた一年前には荒れ果てた耕作放棄地だったこの農園に花が咲き乱れミツバチが飛び回り、羽音が農園に響き渡る。
「ミツバチの楽園」へ一歩近づいたようで本当に嬉しかったです。
ひまわりに訪花するミツバチ。ひまわりは夏の蜜源、花粉源として優秀。
ただ、嬉しかったのもつかの間…。
やはり草がぐんぐん伸びてきます。
あまりの草の勢いに、そして、柵の内と外の違いに途方に暮れていたある日、手伝ってもらっているスタッフとの会話がその後の展開の大きなヒントとなりました。
「ヤギを飼ってここに放したらどうだろうか。
農園に鹿がはいってこないように柵はしてあるから新たに囲いをつくる必要はないし草を食べてくれるから草刈りの手間もない。
ガソリンも使わなくていい。
草を食べた後には糞をすることで土地を肥沃にしてくれる。
農園の作物はミツバチが受粉を手伝う、そして、ヤギが土地を肥やすので元気に育つ。
おまけに石鹸のヤギミルクも自給できるではないか!!
(当園では蜂蜜とヤギのミルクをつかった石鹸が商品としてあります。現状、そのヤギのミルクは取り寄せていて、いつかはそのミルクも自給できたらとは思っていました。)
地域の河原や耕作放棄地に草刈りにヤギが借り出されることもあるらしい。
そんな事が出来たらお世話になっている地域の役にもたてる。
素晴らしい循環じゃないか!
そして、こんな循環型の農園こそ高橋養蜂が目指すべき農園ではないか…?」
ということ、こんな途方にくれた状態からの会話がきっかけとなり、実際に今、高橋養蜂ではヤギを迎え入れるための農園の整備を進めています。
この計画を知った近所でヤギを飼われている方が、ヤギがどんな感じで草を食べるかを試しましょうと「ユメ」ちゃんを連れてきてくれました。
すごい勢いで食べる!!すごい勢いで糞を落とす!!これぞ循環ですね。イメージが具体的になってきました。ありがとうございました!!
はじめてみると順調なことばかりではなく、想定外の問題もあり苦労しています。
次回の開拓日誌ではこの「循環型農園計画」についてご報告させていただきます。
長い記事、最後までご覧いただきましてありがとうございました。