養蜂家が出来ること 農園開拓記録
2020.02.19
vol.5 厳しい自然
皆さま、高橋養蜂のホームページをご覧いただきましてありがとうございます。
この「養蜂家が出来ること 農園開拓記録」のコーナーでは高橋養蜂が最も大切にする「ミツバチが快適に暮らせる環境づくり」をどのように進めているのか?そして、今、高橋養蜂のある伊豆下田の里山はどんな状況なのか?を紹介していきます。
年に数回、更新予定です。
是非、ご覧ください。
前回、高橋養蜂で管理している農地にヤギを迎え入れる準備をしている様子をお伝えしました。
あの記事から数か月。
順調にいけば準備は終わり、ヤギを迎え入れていてもおかしくはない頃なのですが、実はまだ当園にヤギはいません。
なぜ、いまだにヤギを迎え入れることができないのか?
自然相手のこの仕事、なかなか順調にはいかないものです。
今回は、そんな話をお伝えしようと思います。
春の農園の様子です。
ひどい獣害を受けて耕作放棄地となっていた頃には草も育たないような枯れた土地でしたが、獣害対策の柵で農地を囲うと農地は見違えるようになりました。
草花が生き生きと生命力を取り戻してきたのです。
蜜源にと、菜の花の種をまくと...、
ご覧の通りに一面、菜の花が咲き、多くのミツバチが蜜を集めにやってきました。
苦労して柵をつくった甲斐があったと本当に嬉しかったです。
一方、ヤギを迎え入れる準備も養蜂作業の合間をみてしていました。
農地の水はけが悪いのを改良するために行った土壌改良工事の様子です。
こちらも苦労の甲斐があり、水はけはかなり改善されました。
農園に蜜源用に植えたレモンも順調に育っています。
夏前にはレモンの木のまわりに自給用の野菜、カボチャやトウモロコシの苗を植えました。
苗は自宅の庭にて種から発芽させたもの。
収穫が楽しみ~と意気揚々と作業。
巣箱の近くなのでもちろん無農薬で育てる、…つもりでした…。
つもりでした…、というのも、例年になく長かった梅雨で苗の元気がなくなり、
さらには、鹿から守られた草や草に集う虫たちが元気すぎて...。
あっという間にどこに作物を植えたのか?
わからなくるという情けない状況に陥ってしまったのです。
無農薬栽培の難しさをあらためて実感しました。
気を取り直して、本業の養蜂としっかりと向き合い、そして、空いた時間にヤギを迎え入れる準備、蜜源となる作物を育てることに集中しよう!
そのようにして、厳しい夏をなんとか乗り越えました。
そして、やってきた秋。
季節外れの超大型台風15号・19号が各地に甚大な被害をもたらしました。
被害を受けられた皆様には、心からお見舞い申し上げます。
高橋養蜂のある伊豆下田も甚大な被害を受けました。
そして、当園でも少なからず被害があったのです。
準備中のヤギ牧場に水はけ改善のために掘った溝も一部崩壊。
ブルーベリーやレモンの倒木もあり。
農園への道も倒木があったり崩落があったり。
道具を入れていた倉庫ごと流されてしまったり…。
そして、台風15号ではミツバチの巣箱の一部が倒れて被害を受けてしまいました。
自分が養蜂をはじめてからこんなことはなかったです。
台風19号では15号の経験を活かし、さらに万全の対策を講じてミツバチの被害を最小限に乗り切ることが出来ました。
コンクリートブロックを積んで、縄でしばり固定。
昨年は、こうしてあらためて自然の厳しさを実感した年でした。
今、温暖化、気候変動が言われています。
これからはこのような大きな台風が毎年のように来るのでしょうか?
不安で仕方ありませんがやれることをやって対応するしか道はないのでしょう。
そんなことが連続して起こって、準備が終わればヤギを迎え入れよう...と簡単に考えていた気持ちをあらためて、まだヤギを迎え入れるのは時期尚早だと考えるようになりました。
さらには、もう一つ悩ましい問題も発生。
ただ、その問題については発生したことにより予期せぬ展開に発展しています。
次回は、もう一つの悩ましい問題、そしてその問題が導いてくれた新たな計画についてお伝えしたいと思います。
では、長々とお付き合いいただきましてありがとうございました。
この記事を書いている今(2020年2月中旬)、伊豆下田では早咲きの河津桜が満開です。
暖かい日には蜂も桜に蜜を集めに訪れています。
今年は例年になく早く咲いているそう。
丁寧に桜の蜜を集めるミツバチたちの仕事っぷりにいつも感心させられます。