養蜂家が出来ること 農園開拓記録
2020.06.19
vol.7 「レモンとクローバーの花のはちみつ」への道のりのはじまり!
皆さま、高橋養蜂のホームページをご覧いただきましてありがとうございます。
この「養蜂家が出来ること 農園開拓記録」のコーナーでは高橋養蜂が最も大切にする「ミツバチが快適に暮らせる環境づくり」をどのように進めているのか?そして、今、高橋養蜂のある伊豆下田の里山はどんな状況なのか?を紹介していきます。
年に数回、更新予定です。
是非、ご覧ください。
前回、農園に増える外来種「ナンキンハゼ」に悩まされた結果、ユンボを入れてその木を根っこごと引っこ抜き、そのおかげもあり新たな開拓が進みだしたという話を書きました。
今回は、その開拓を本格的にはじめる前にあらためて悩んだ、「蜜源を何にするか?どのように農園を管理していくか?」ということについてお伝えします。
農園に遊びに来てくれた渡り鳥『ジョウビタキ 』。中国やロシアで生まれ、秋に日本にやってきて、春先に戻り、そっちで繁殖をするとのこと。
撮影したのは今年の2月、今ごろは大陸に渡っているのでしょうか。
少し話を戻すと、もともとが耕作放棄地だったこの農地をぐるりと獣害対策の柵で囲いました。
どうせ囲う手間をかけるなら少し大きめがよいだろうと範囲を決めたのですが、いかんせん大きすぎたのかもしれません。
メインの場所には新たにレモンを植えて農地を管理していたのですが、その他の場所に至ってはほったらかし状態。
柵の外であれば鹿がきれいに草を食べつくすので草刈りなどはいらないほどなのですが(驚くほどきれいに草刈りしてくれるのです)、柵の内側は鹿が入ってこないこともあり本当に草が元気です。
「あっ!」
というまに柵を超えてしまうような草木が育ってしまう始末でした。
電柵に草が触れてしまうと仕組み上、電気が流れなくなってしまいます。
なんとか電柵際の草木を刈り取るくらいしか出来ない状況が続きました。
夏の養蜂の作業が最も忙しい時に、草が元気になります。養蜂作業の合間に草刈りを…。暑くてたまりません…。
つねに頭のどこかに「あの草木がボーボーのとこ、どうにかしないと...」とは思っていたものの、草木が元気ということは自然と花も咲いてくれるし少なからずは蜜源にもなる!と半ば無理やり思うようにしていました。
でも、前回書いた通り「ナンキンハゼ」退治のためにユンボを入れたことで整地が進み、ここにもちゃんとした蜜源になるレモンを植えれるではないか?となったのです。(なかなか踏み出せない最初の一歩、誰にもあるかと思います。踏み出す勇気、大事ですね)
そして、いざレモンを植えようという前に時に悩んだこと。
すでにレモンを植えたメインの農地は下草は特に植えていません。
時期によって、レモンの間にひまわりや菜の花を植えて、蜜源を増やそうとしていたのですが、その都度植える前には草刈りをして、植えて刈り取って...というのがかなり大変でした。
一面に花が咲き、ミツバチたちがそこを飛び回る様子は、まさに「ミツバチの楽園」ではないか!と嬉しくなったのではありますが...、このやり方では手間がかかりすぎて長く維持管理していくことが出来ないようにも感じていました。
もっと、手間がかからずにしっかり蜜源を増やす方法はないのか?
悩みました。(手間を惜しんでいるわけではありませんが、長く管理していくためには手間がかからずに管理できる農園を作っていくことは大切なことと思っています。)
そこで、下草、かっこいい?言葉でいうと「グランドカバー」で蜜源を育てようと思い至りました。
グランドカバーがしっかり機能すれば他の元気すぎる草を抑制することもできるといいます。
では、何を植えるか?
あれやこれやと検討の結果、グランドカバーにはクローバー(シロツメクサ)を選びました。
クローバーは花の開花時期が長く、多く蜜を出します。
日本ではクローバーのはちみつというのはあまり馴染みがありませんが、海外では一般的なものなので、蜜源としてはまちがいありません。(世界で最も生産量が多いはちみつがクローバーなのです)
そして、あらためてクローバーのはちみつをいくつか取り寄せて試食。
味も香りもとてもよい。
時期的に重なるレモンの花の蜜とも相性がよさそうです。
草刈の手間が減り、おいしい蜜源が増える、とてもよいのではないか?
でも、そもそもここに至ったきっかけは外来種「ナンキンハゼ」に苦労した経験からです。
何を植えるのか?はかなり慎重に検討しなければなりません。
クローバーのグランドプランツとしてのデメリットとしては、その繁殖力の強さから想定外にひろがってしまうことがあるようです。
庭や公園などではそんな報告もあります。
でも、ここは柵の外は鹿がうろうろする山の中の農園。
柵の外にひろがったとしても、鹿さんたちがいくらでも食べてくれる。
柵の外に想定外にひろがることはなさそうです。(牧草にも使われるくらいなので、鹿が好きなことはまちがいないでしょう)
ということで、グランドカバーはクローバーに決定しました。
あらたに開拓しはじめた農地aにくわえて、もともとレモンが植えてある開拓済みの農地にもグランドカバーとしても植えることにしました。
レモンとクローバーの花が咲き、そこをミツバチたちが飛び回る姿を想像するだけで嬉しくなってしまいます。
そして、レモンとクローバーの花のはちみつがどんな味になるのか?
大きな楽しみが出来ました!
では、次回は実際にレモンとクローバーを植えていく様子をお伝えします。
長文、お付き合いいただきましてありがとうございました!